子宮内膜増殖症

子宮の内腔には、子宮内膜という細胞の集団が子宮内腔を覆うように存在していて、毎月増殖と剥脱・出血(=生理)を繰り返します。子宮内膜の役割は、簡単に言えば「受精卵のベッド」として機能することで、生理というのはそういう意味から言うと「毎月ベッドメークをする」ようなものです。

子宮内膜増殖症というのは、この毎月行っている「ベッドメーク」が度を超したものと言えるでしょう。生理(月経)が終了する頃になると、卵巣には卵を育てる卵胞というものが形成され始め、この卵胞を形成している卵胞膜という細胞からエストロゲン(卵胞ホルモン)という女性ホルモンが分泌されるようになります。卵胞が発育するのにつれてエストロゲンの分泌もどんどん増加し、排卵の直前にピークを迎えるようになります。エストロゲンは、子宮の内膜に対しては増殖を促すように働くため、卵胞の成長とともに子宮内膜も増殖してだんだんと厚みを増すようになります。子宮内膜細胞のエストロゲンに対する感度が強すぎると、増殖が過度となって子宮内膜も異常に厚みを増してしまうことになります。これが、子宮内膜増殖症です。

この結果、生理の量が多くなったり(過多月経)、生理に混じって出てくる内膜(魚のはらわたのように見えるものです)が異常に多くなったりという形で自覚するようになり、場合によっては生理痛の悪化が起こったり不正出血を起こすようにもなります。  出血がかなり多くなれば、もちろん貧血を起こしてきますので、身体のだるさや息切れ、動悸、易疲労感などを自覚することになります。

子宮内膜増殖症は現在3つのタイプに分類されています。

  (1)嚢胞性子宮内膜増殖症

  (2)腺腫性子宮内膜増殖症

  (3)異型子宮内膜増殖症

このうち、(1)と(2)はエストロゲンに依存するものであり、ホルモン治療により治癒できるものと言われていますが、ごく軽症のものでは自然経過を見ているうちに消滅してしまうものもあり、経過観察でも良い場合があります。(3)の異型内膜増殖症は、これも発生はエストロゲン依存だと言われていますが、細胞に異型が認められる点で、子宮体癌に発展する可能性のあるものであると言われており、特に閉経後に見つかった場合にはかなり高率に子宮体癌へ移行するものと考えられています。要注意!頻繁に検査を行うか、あるいは子宮全摘を考慮する必要があるものと考えられています。

検査についてですが、まず超音波で観察して子宮内膜が異常に厚みがあると思われたら、細胞診、及び組織診を行います。組織診は無麻酔下に子宮内面から組織を取ってくる場合と、全身麻酔下に内腔全面の組織を採取する(=子宮内掻爬をするのと同義)場合とがあります。確定診断は、組織診により行います。

治療は、ホルモン投与(プロゲステロン単独投与)と手術治療(子宮全摘術)とがあります。組織型、超音波などの検査所見、年齢などを考慮に入れて治療法を選択します。